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旧車の税金はなぜこんなに高くなるのでしょうか?
私の家には二台の車があります。一台は1975年式BMW2002tii。もう一台は「ヨーロッパではベーシックな車を普段乗りで長〜く使うものなんだよ」という話に影響され、新車で購入した2004年式VW Lupo コンフォートパッケージ。
46年目のBMW2002tiiと17年目のVW Lupoは、新規登録から13年以上経過しているため、自動車税と車検時にかかる重量税が「重課」(割り増し)対象となっています。
乗れば乗るほど税金が高くなるんなら、長〜くなんて乗れないじゃん!
BMW2002のような旧い車を乗ることに対して、日本と海外ではどれだけ考え方が違うかということを知りたい方に向けてこの記事を書いてみました。
旧車の税金は高い。1年間で12,500円も高くなります
2002年に公布された「自動車税種別グリーン化」によって、日本の自動車税は新規登録から13年経過した車を15パーセント割り増しとなる「重課」の対象としました。
私のBMW2002tiiは排気量が2000cc以下となりますので、39,500円の15%アップで45,400円に。標準税率に対し5,900円増となります。
ちなみにVW Lupoは1400ccですので、34,500円の15%アップで39,600円に。標準税率に対し5,100円増。二台合わせると11,000円の増税になります。
さらに、車検時にかかる「重量税」というものがありまして、これの重課(割り増し)がまた大きいんです。13年経過後は約40%増、そして18年経過するとさらに約10%増・・・
BMW2002tiiは重量が1010kgで18年以上経過しているので37,800円となり、13年未満と比較すると13,200円増となります。比率で言うとなんと約54%のアップ!
BMW2002を10年乗ったと仮定すると、重課分は自動車税59,000円、重量税が66,000円で、合わせて125,000円にもなってしまうのです。
その程度?なんて感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、以下に記載される海外の旧車に対する自動車税事情をお読みになれば、少し受け止め方も変わるかもしれません。
自動車税から見る海外の旧車事情 −文化と遺産−
イギリス・・・イギリスは製造後40年経過した車は自動車税と車検も免除
フランス・・・フランスは年数ではなく排気量に対しての課税
イタリア・・・イタリアでは燃費に対しての課税。製造後20年で減税となり、30年以上で免除。20年経過した車の海外流出を防ぐためにこのような制度にしたようです。
BMW2002の生まれ故郷であるドイツでは・・・製造後30年経過した車は自動車税と車検も優遇(一定の条件をクリアしてHナンバーというものを取得した場合)
アメリカ・・・調べてみて驚きましたが、アメリカに自動車税というものはないみたいですね。
上記の国以外にも、ヨーロッパでは20数年経過した車は優遇制度を取っている国が多いようです。やっぱりヨーロッパの国々にとって「車は文化であり遺産」であるという考え方なのがひしひしと感じられました。
自動車税から見る日本の旧車事情 −うるさいガラクタ?−
別に政治を語るつもりはありませんが、日本という国にとっては、旧車はうるさくて、排気ガスをまきちらす、燃費の悪いガラクタ程度にしか考えられていないようです。
その反面、新車に対しては自動車税が毎年15%減税となりました。また、自動車取得税は廃止され、環境性能割(燃費のいい車ほど税軽減)が導入されています。
このように、エコで環境にいいクリーンな新車にどんどん買い替えさせることで、経済も回していきましょうという考えのようですね。
さらに、2020年に菅内閣は「グリーン成長戦略」で2030年代には乗用車の新車販売でガソリン車をゼロにするという指針も発表しています。
残念ながら、BMW2002のような旧車にとっては、ちょっと居心地の悪い社会がやってくるかもしれません。
こんな話をしてしまいましたが、あと10年や20年でBMW2002が乗れなくなるわけじゃないと思いますし、そんな先のことを考えていたら何もできやしませんよね。
音楽だって、スケボーだって、バイクだってなんだって、楽しいことはお上が規制するっていうのは、今までいくらだってありましたし。
BMW2002のような旧車趣味は楽しいのですが、政治の世界ではこのようなことも起こっているんですよという、ちょっと暗めなお話になってしまいましたね。
最後にちょっといい話題。実は日本にも旧車の税優遇制度は存在していました!ただし、国ではなく東京都で、減免対象は1945年(昭和20年)までに製造された車だそうです・・・残念でした。